いまむさん | 短編小説

うまく言葉に出来ない、心情を短い文章にまとめていけたらと思います。

カーナビの言うとおり | 3分短編小説

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カーナビ

 

車に乗っている。目的地はどこだったか。妻の行きたい、自分には興味の無いお店だったか、よくわからないが、カーナビに従おう。後は、交通ルールに従い、カーナビの言う通りにしていれば、目的地に到着するだろう。

私は、なぜこの車に乗っているのだろう。なぜこの車を購入したのだろうか?流行りのSUVで、トランクには荷物も沢山詰める。2WD / 4WDの切り替えもボタンひとつ。黒い色の無難なSUV。

家族のために購入したのか、妻に言われたのか、子供に言われたのか。自分がこの車を好きで購入したのか。この車が悪いわけでは無く、何か文句がある訳でもない。

家族を持つと、よくある事だ。なぜこんな物を買ったのだろうか。それは本当に必要な物であったのかと後で考えてしまう事もある。周りの皆が持っているから、とりあえず、買っておこうと言う物もある。この車に対して、自分の意思は無い。好きや嫌いも無い。

赤の小さいオープンカーが自分の車を颯爽と抜かしていった。屋根を開放して、風を感じながら。そのドライバーの人は、少しこの肌寒い季節に、屋根を開放して運転している。風を感じて、運転する事が楽しいのだろうと感じた。

自身は、車内の温度設定を少しあげ、カーナビが言う通りに運転している。目的地はどこだったか。

運転する事に対する情熱を持ったスポーツカーのテールランプを見ながら、カーナビの言う通りに運転している。快適な車内温度と、間違いの無いカーナビに従って。



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